今回は、イベントベースセンサというセンサを紹介します。通常の画像を取得するセンサとは違いますが、こちらもイメージセンサの一種です。
一般的なイメージセンサでは、レンズからセンサに入ってくる光を輝度値に変換して1枚の画像として出力します。その画像を連続して出力すると動画になりますね。1秒間の動画が何枚の画像で構成されているのかというのを、〇fpsなどと表記されます。早いものだと1000fpsのカメラなども存在します。(もっと早いセンサもあると思います。)このようにフレームごとの画像で動画が構成されるというのが、イメージセンサの基本的な考え方になります。
一方でこのイベントベースセンサというのは、フレームという概念をなくしてしまった新しいイメージセンサになります。
Sony社がイベントベースセンサについて解説動画を出しているので確認してみてください。
動画にある通りイベントベースセンサとは、変化があった画素だけ信号を出すという動作をします。直前の光量からある一定量以上明るくなった画素は、+1を出力し、一定以上暗くなった場合-1を出力するといった特殊な動作ですね。しかも普通のイメージセンサのようにフレームごとに出力するわけではなく、反応した画素が反応した瞬間だけ出力します。そのため、まったく明るさが変化しない画素はずっと出力しません。出てくる映像としては、輪郭のみが動いているような映像になります。
このセンサの利点は、従来のフレーム型のイメージセンサと比較すると3点ほどあると考えています。
- フレームレスであること
- 余分な情報を得ずに済むこと(良い意味で情報量が少ない)
- 低消費電力である?(多分)
こんな感じですかね。まずフレームレスであるというのは、このセンサの最大の特徴です。これは、従来のイメージセンサだと必ず発生してしまうフレームとフレームの間の時間を撮影できない点を解決しています。被写体に高速で移動する物体が含まれる場合、フレーム間に高速被写体が大きく移動しています。
おそらくかなりの高フレームレートのイメージセンサなら問題なくなると思いますが、データ量が多くなったり消費電力が高くなってしまうと思います。一方このイベントベースセンサだと、消費電力やデータ量をそこまで増やすことなくデータ取得が可能です。その代わり通常の映像を見ることはできませんが。。
2点目の余分な情報を得ずに済むというのは、特に定点カメラの場合ですね。街においてある監視カメラや、工場の商品などを見るカメラ(?)の場合、必要ない背景の部分を常にとり続けることになります。動いている人や商品しか情報として必要ない場合は、このイベントベースセンサを使うことでデータ量をおさえられます。
なんとなくイベントベースセンサについてわかっていただけましたでしょうか。
ちなみにイベントベースセンサはもともとソニー社が開発していたわけではありません。もともとはフランスのProphesee社という企業が開発していました。どういう経緯かわかりませんが、その後Prophesee社とソニー社でイベントベースセンサの共同開発をはじめ現在に至ります。Prophesee社がもともと作っていたイベントベースセンサは表面照射型のセンサでしたが、ソニーと共同開発後に発表しているセンサでは、ソニー社の製造プロセスを使用しているため裏面照射積層センサになっています。
こういう新しいコンセプトのイメージセンサもどんどん開発されていくと面白いですね。今後の開発に期待しましょう。
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