ローリングシャッタ現象とは、カメラで高速に動く被写体を撮影をしたときに被写体が歪んで撮影されてしまうことを言います。ローリングシャッタ歪みとも呼ばれています。例えば駅のホームから高速で通過する電車を撮影したとしましょう。すると撮影された画像は、下のローリングシャッタの画像のように斜めに歪みが発生してしまうことがあります。それがローリングシャッタ現象(歪み)と呼ばれる現象になります。
この現象は、水平方向に移動する物体だと斜めに歪んだような形状になりますが、垂直方向に移動する場合は物体が伸び縮みしたような形状になります。また、扇風機やプロペラなどの高速に回転する物体でもこの現象は発生します。では、なぜこのような現象が発生してしまうのでしょうか。原因を確認してみましょう。
ローリングシャッタ現象(歪み)の原因
まずローリングシャッタ現象(歪み)の原因は、CMOSイメージセンサの動作方式によって引き起こされています。イメージセンサの動作方式には、ローリングシャッタ方式とグローバルシャッタ方式と呼ばれる2つの方式があります。グローバルシャッタ方式とは、イメージセンサの画素アレイ全体で同時シャッタを切ることができる方式でです。一方で、ローリングシャッタとは画素アレイの上部から行ごと順番にシャッタが切られる方式です。なので、ローリングシャッタ方式では画素アレイ上部と下部ではシャッタタイミングが異なっているということです。
では、なぜローリングシャッタだと歪みが発生するのか。それは、画面上部と下部でシャッタタイミングが違うというのが大きな原因です。画面左側から右側に高速で移動する物体を撮影した場合、画面上部は画面左側でシャッタが切られます。それに対して、画面下部では画面右側でシャッタが切られることになるため、歪みが発生します。図で確認するとしたのような状態になっています。 このようにローリングシャッタ現象では、水平に移動する物体は斜めに歪んで撮影されてしまうのでです。
ローリングシャッタ現象の解決方法
では、ローリングシャッタ現象の解決策を考えていきます。解決策としては、3つほどあります。
一つ目は、メッカシャッターが搭載されたカメラを使用することです。この現象は、CMOSイメージセンサの電子シャッタを用いて撮影することで発生している現象のため、メカシャッターを使用すればそもそもローリングシャッタ現象は発生しません。ただし、動画撮影の場合は使用できません。
残りの二つは、イメージセンサの進化による解決策になります。
二つ目は、ローリングシャッタのCMOSイメージセンサにおいて超高速読み出しを実現することになります。画素アレイ上部と下部でシャッタタイミングがずれることで発生する現象ですが、このずれが影響なくなるくらいに十分早く読み出しを行うことで歪みを限りなく現象させることができます。
すでに世の中にそういうセンサは出てきていて、Sonyなどが実現しています。
最後がグローバルシャッタのイメージセンサを使用することです。イメージセンサにはCCDイメージセンサとCMOSイメージセンサが存在しますが、CCDイメージセンサはグローバルシャッタなのでローリングシャッタ現象は発生しません。CMOSイメージセンサは、基本的にローリングシャッタの構造が用いられていましたが、各社開発が進んだことによりグローバルシャッタのイメージセンサも出てきています。
メカシャッタを使用できない、スマホのカメラや車載用カメラの場合はグローバルシャッタイメージセンサが使用されるようになるかもしれませんね。特に自動運転用カメラでローリングシャッタ現象が問題になると事故につながりかねないので、各社対応してくると思います。
まとめ
それでは、ローリングシャッタ現象についておさらいしましょう。
Q.ローリングシャッタ現象(歪み)って何?
A.デジカメなどで、高速被写体を撮影した場合に被写体が歪んで撮影される現象です。
Q.ローリングシャッタ現象(歪み)の原因は?
A.ローリングシャッタ方式では、画素アレイ上部と下部で読み出しタイミングが異なるため。
Q.ローリングシャッタ現象(歪み)の解決方法は?
A.メカシャッタを使用する。
イメージセンサの読み出しを高速にする。
グローバルシャッタのイメージセンサを使用する。
の3つになります。
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