カメラの「メカ」「電子先幕」「電子」は、どれもセンサーが光を受ける時間を決める方法です。まずシャッターの場所を見てから、幕の動きと電子制御の違いを順に見ていきましょう。
シャッターはカメラのどこにある?
ミラーレスカメラの中では、レンズを通った光がセンサーへ届きます。機械式シャッターを備える機種では、幕のユニットはセンサーのすぐ前にあります。電子シャッターは新たな「電子の幕」がそこに付くのではなく、センサー側の動作で露光を制御します。
先幕・後幕は「動く順番」の名前
機械式シャッターには、露光を始める側の先幕と、終える側の後幕があります。「先・後」は動作する順番です。先幕がレンズ寄り、後幕がセンサー寄り、という意味ではありません。
シャッターは何をしている?
写真は、センサーが光を受け始め、一定時間後に受け終わることでできます。この間が露光時間です。各方式の違いは、始まりと終わりを機械の幕で決めるか、センサー側で決めるかにあります。
メカシャッター:2枚の幕で露光を決める
比較的遅いシャッタースピードでは、先幕が開き切ってセンサー全体が光を受ける時間があり、その後に後幕が閉じます。下の黒が幕、緑が露光中の部分です。
速いシャッタースピードでは、先幕が開き切る前に後幕が動き始めます。2枚の幕の隙間がセンサー上を走るので、1/4000秒でも画面全体が同時に1/4000秒だけ開くわけではありません。
電子先幕:露光の始まりだけを電子化
電子先幕は、メカシャッターの「先幕が露光を始める仕事」をセンサー側の電子制御に置き換えた方式です。終わりは機械式の後幕が担当します。電子的な開始も画面内で順に進み、後幕の走行と対応します。全画素が同時に露光を始める方式ではありません。
先幕の機械的な動きを減らせますが、後幕の音と動きは残ります。明るいレンズを開放付近で使い、高速シャッターにすると、ボケの輪郭が欠ける場合があります。気になるときはメカ方式と撮り比べてください。
電子シャッター:始まりも終わりもセンサー側で制御
電子シャッターは撮影時に機械の幕を走らせず、センサー側で露光の開始と終了を制御します。一般的なローリング方式では、行ごとに少しずつ時刻をずらして処理します。電子シャッター=全画面同時撮影、ではありません。
たとえば各行の露光時間が1/2000秒でも、最上段から最下段までを記録する時間差まで1/2000秒とは限りません。機種や撮影モードによって差は変わります。
電子シャッターで動くものが歪む理由
上の行と下の行を違う時刻に記録する間に被写体が動くと、1枚の写真の中で位置がずれます。これがローリングシャッター歪みです。
電子シャッターの歪みやすさは、センサー全体を記録する速さと被写体・カメラの動きで変わります。高速メカシャッターにも幕の移動による時間差はありますが、大きさは機種と条件次第です。詳しい実写例はローリングシャッター歪みの解説を参照してください。
3方式を比べて、どう選ぶ?
ここまでの仕組みを踏まえると、まず次のように選べます。対応方式や速度はカメラごとに異なるため、最後は機種の説明書と試し撮りで確認してください。
比較表は横にスクロールできます。
| 比べる点 | メカ | 電子先幕 | 電子 |
|---|---|---|---|
| 露光開始 | 機械式の先幕 | センサー側の電子制御 | センサー側の電子制御 |
| 露光終了 | 機械式の後幕 | 機械式の後幕 | センサー側の電子制御 |
| 音・振動 | 幕の動作あり | 先幕の動作を抑えられる | 撮影時の幕動作なし。電子音などは設定次第 |
| ローリング歪み | 高速時は幕の走行による時間差あり | 画面内に時間差あり | ローリング方式では目立つ場合あり |
| フリッカー・縞 | 点滅光源で起こり得る | 点滅光源で起こり得る | 点滅光源で特に確認したい |
| 高速連写 | 機種の駆動速度による | 機種の駆動速度による | 速い機種があるが一律ではない |
| ストロボ | 同調速度内で使用 | 対応・同調速度は機種次第 | 非対応と対応の機種がある |
| 向く撮影 | 動体・ストロボ・大口径の高速撮影 | 普段の写真、幕の振動を抑えたい場面 | 静かな場面、機種が得意とする高速連写 |
- 普段の写真:電子先幕がある機種なら出発点にしやすい。
- 動く被写体・ストロボ:まずメカを基準に。電子を使うなら歪みや同調可否を確認。
- 式典など静かな場所:電子を検討。LED照明では縞が出ないか試し撮り。
- 明るいレンズで高速撮影:電子先幕のボケが気になるならメカと比較。
よくある質問
電子シャッターなら必ず無音ですか?
機械幕の作動音はなくせますが、電子音の設定やレンズの駆動音が残る場合があります。
LED照明の下で縞が出るのは故障ですか?
照明の点滅と、行ごとの撮影時刻が重なって縞になる場合があります。速度やフリッカー対策設定、シャッター方式を変えて比べてください。メカでも条件次第で明暗差は起こります。
電子シャッターでストロボは使えますか?
機種によります。使えない機種も、同調速度の制限付きで使える機種もあります。ストロボとカメラ双方の公式仕様を確認してください。
電子シャッターとグローバルシャッターは同じですか?
同じではありません。一般的な電子シャッターは行ごとに時刻がずれるローリング方式です。グローバルシャッターは各画素の露光時刻をそろえる設計で、機種によって採用されています。
まとめ
メカは先幕と後幕、電子先幕は電子的な開始と機械後幕、電子はセンサー側で開始と終了を制御します。まず普段の写真で電子先幕を試し、動体やストロボではメカ、静かな場面では電子を候補にしてください。写真に歪みや縞が見えたら方式を切り替えて比べるのが確実です。
参考にしたメーカー公式資料
免責事項
本記事は2026年9月に確認したメーカー公式資料をもとに、一般的なミラーレスカメラの仕組みを説明しています。シャッター動作、撮影可能な方式、ストロボ同調、フリッカー対策は機種や設定で異なります。お使いのカメラの最新マニュアルを確認してください。


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