電子シャッター・メカシャッター・電子先幕の違いとは?メリット・デメリットと使い分けを図解

ImageSensor

カメラの「メカ」「電子先幕」「電子」は、どれもセンサーが光を受ける時間を決める方法です。まずシャッターの場所を見てから、幕の動きと電子制御の違いを順に見ていきましょう。

シャッターはカメラのどこにある?

ミラーレスカメラの中では、レンズを通った光がセンサーへ届きます。機械式シャッターを備える機種では、幕のユニットはセンサーのすぐ前にあります。電子シャッターは新たな「電子の幕」がそこに付くのではなく、センサー側の動作で露光を制御します。

ミラーレスカメラの横断面:シャッターはセンサーのすぐ前左からレンズ、マウント、機械式シャッターユニット、イメージセンサー。シャッターはセンサーのすぐ手前にある。レンズマウントシャッターセンサー光 →
図1:ミラーレスカメラを横から見た概念図です。機械式シャッターはセンサーのすぐ前にあります。形や寸法は機種で異なります。

先幕・後幕は「動く順番」の名前

機械式シャッターには、露光を始める側の先幕と、終える側の後幕があります。「先・後」は動作する順番です。先幕がレンズ寄り、後幕がセンサー寄り、という意味ではありません。

① 先幕が開く光が届く
② 露光中光を受ける
③ 後幕が閉じる光を遮る
図2:黒は幕、緑は光を受ける部分。先・後は動く順番です。レンズ側・センサー側という奥行きの順番ではありません。

シャッターは何をしている?

写真は、センサーが光を受け始め、一定時間後に受け終わることでできます。この間が露光時間です。各方式の違いは、始まりと終わりを機械の幕で決めるか、センサー側で決めるかにあります。

図3:シャッターの役割は、センサーがいつ光を受け始め、いつ終えるかを決めること。設定する「1/1000秒」などは、各位置で光を受ける時間です。

メカシャッター:2枚の幕で露光を決める

比較的遅いシャッタースピードでは、先幕が開き切ってセンサー全体が光を受ける時間があり、その後に後幕が閉じます。下の黒が幕、緑が露光中の部分です。

幕が遮る露光中
図4:低速の例。先幕が下へ開く → 全面に光が当たる時間がある → 後幕が下へ閉じる。動きは理解のための概念図で、実際の速さではありません。

速いシャッタースピードでは、先幕が開き切る前に後幕が動き始めます。2枚の幕の隙間がセンサー上を走るので、1/4000秒でも画面全体が同時に1/4000秒だけ開くわけではありません。

幕が遮る露光中
図5:高速の例。後幕が先幕を追い、細い隙間(スリット)だけが下へ進みます。画面全体が同時に開く瞬間はありません。動きは実速度ではありません。

電子先幕:露光の始まりだけを電子化

電子先幕は、メカシャッターの「先幕が露光を始める仕事」をセンサー側の電子制御に置き換えた方式です。終わりは機械式の後幕が担当します。電子的な開始も画面内で順に進み、後幕の走行と対応します。全画素が同時に露光を始める方式ではありません。

電子先幕の時間差上、中、下の行で、電子的な露光開始は順に遅れ、機械式の後幕もそれに合わせて順に露光を終える。時間 →上段中段下段● 電子的に開始━━ 機械後幕で終了
図6:先幕の仕事をセンサー側の電子制御が担当し、露光終了は機械式の後幕が担当します。上段から下段へ開始時刻が順にずれる例で、全画素が同時に始まるわけではありません。

先幕の機械的な動きを減らせますが、後幕の音と動きは残ります。明るいレンズを開放付近で使い、高速シャッターにすると、ボケの輪郭が欠ける場合があります。気になるときはメカ方式と撮り比べてください。

電子シャッター:始まりも終わりもセンサー側で制御

電子シャッターは撮影時に機械の幕を走らせず、センサー側で露光の開始と終了を制御します。一般的なローリング方式では、行ごとに少しずつ時刻をずらして処理します。電子シャッター=全画面同時撮影、ではありません。

図7:一般的なローリング方式の例。上の行から下の行へ、センサー側で露光を順に制御します。ここでは上から下の例を描いており、実際の走査方向や速さは機種で異なります。

たとえば各行の露光時間が1/2000秒でも、最上段から最下段までを記録する時間差まで1/2000秒とは限りません。機種や撮影モードによって差は変わります。

電子シャッターで動くものが歪む理由

上の行と下の行を違う時刻に記録する間に被写体が動くと、1枚の写真の中で位置がずれます。これがローリングシャッター歪みです。

時間差で動く棒が斜めに写る上段を撮るときの棒の位置は左、中段では中央、下段では右になる。1枚の画像に合わせると棒が斜めに見える。撮る時刻がずれる完成した写真①②③
図8:右に動く棒を上段①、中段②、下段③の順で撮ると、下ほど棒の位置が右になります。時間差が1枚の写真では斜めの形になります。

電子シャッターの歪みやすさは、センサー全体を記録する速さと被写体・カメラの動きで変わります。高速メカシャッターにも幕の移動による時間差はありますが、大きさは機種と条件次第です。詳しい実写例はローリングシャッター歪みの解説を参照してください。

3方式を比べて、どう選ぶ?

ここまでの仕組みを踏まえると、まず次のように選べます。対応方式や速度はカメラごとに異なるため、最後は機種の説明書と試し撮りで確認してください。

比較表は横にスクロールできます。

比べる点メカ電子先幕電子
露光開始機械式の先幕センサー側の電子制御センサー側の電子制御
露光終了機械式の後幕機械式の後幕センサー側の電子制御
音・振動幕の動作あり先幕の動作を抑えられる撮影時の幕動作なし。電子音などは設定次第
ローリング歪み高速時は幕の走行による時間差あり画面内に時間差ありローリング方式では目立つ場合あり
フリッカー・縞点滅光源で起こり得る点滅光源で起こり得る点滅光源で特に確認したい
高速連写機種の駆動速度による機種の駆動速度による速い機種があるが一律ではない
ストロボ同調速度内で使用対応・同調速度は機種次第非対応と対応の機種がある
向く撮影動体・ストロボ・大口径の高速撮影普段の写真、幕の振動を抑えたい場面静かな場面、機種が得意とする高速連写
  • 普段の写真:電子先幕がある機種なら出発点にしやすい。
  • 動く被写体・ストロボ:まずメカを基準に。電子を使うなら歪みや同調可否を確認。
  • 式典など静かな場所:電子を検討。LED照明では縞が出ないか試し撮り。
  • 明るいレンズで高速撮影:電子先幕のボケが気になるならメカと比較。

よくある質問

電子シャッターなら必ず無音ですか?

機械幕の作動音はなくせますが、電子音の設定やレンズの駆動音が残る場合があります。

LED照明の下で縞が出るのは故障ですか?

照明の点滅と、行ごとの撮影時刻が重なって縞になる場合があります。速度やフリッカー対策設定、シャッター方式を変えて比べてください。メカでも条件次第で明暗差は起こります。

電子シャッターでストロボは使えますか?

機種によります。使えない機種も、同調速度の制限付きで使える機種もあります。ストロボとカメラ双方の公式仕様を確認してください。

電子シャッターとグローバルシャッターは同じですか?

同じではありません。一般的な電子シャッターは行ごとに時刻がずれるローリング方式です。グローバルシャッターは各画素の露光時刻をそろえる設計で、機種によって採用されています。

まとめ

メカは先幕と後幕、電子先幕は電子的な開始と機械後幕、電子はセンサー側で開始と終了を制御します。まず普段の写真で電子先幕を試し、動体やストロボではメカ、静かな場面では電子を候補にしてください。写真に歪みや縞が見えたら方式を切り替えて比べるのが確実です。

参考にしたメーカー公式資料

免責事項

本記事は2026年9月に確認したメーカー公式資料をもとに、一般的なミラーレスカメラの仕組みを説明しています。シャッター動作、撮影可能な方式、ストロボ同調、フリッカー対策は機種や設定で異なります。お使いのカメラの最新マニュアルを確認してください。

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